消費活動の根本にあるモチベーションが80年代にまったく変わった。
戦後の消費を駆動してきたのは衣食住の基本に関わる身体的な欲求を満たすことだった。
「こういう食べ物は美味しい」「これを着ると着心地がいい」「この家はすごく住み心地がいい」
80年代からいわゆる「アイデンティティ基礎づけ商品」が登場してくる。「自分が何ものであるか」を商品購入行動によって表示しようとする人たちが出てきた。自分らしさを基礎づけ。「これを買うとあなたらしくなれる」という言葉遣いで欲望を煽った。でも、いくら「自分らしい」消費活動をしてみても、同じ商品を持っている人間がいくらでもいる。アイデンティティの確定は達成されない。自己幻想を充たすために商品購入する限り、市場は無限に拡大する。
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迷走王ボーダーという漫画がある。「あちら側の人間」というキーワードが頻繁に出てくる漫画だ。あちら側とはシステムのこと。村上春樹さんがイスラエルで演説中に語ったシステムと同義と認識している。
半径10メートルの世界で生きる若者達。僕は嫌いじゃないし共感する。しかし、「なんか嫌な感じ」には敏感に反応しNOを突きつけてきたつもりだ。僕は極度の人見知りと自意識過剰が昔からあって、社会に馴染めなかったけれど、なんとか生き延びてきた。事実上14回も転職してる。へんてこりんな生きかたのついでに、博打に出ようと思ってる。ひとつだけルールを守りたい。
あちら側の物語にはしないということ。
「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、僕は常に卵側に立つ」村上春樹
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